会社更生手続とは、「窮境にある株式会社について、更生計画の策定及びその遂行に関する手続を定めること等により、債権者、株主その他の利害関係人の利害を適切に調整し、もって当該株式会社の事業の維持更生を図ることを目的とする」法的整理手続です(会社更生法1条)。
また、「株式会社について、この法律の定めるとことにより更生計画を定め、更生計画が定められた場合にこれを遂行する手続」と規定されています。(会社更生法2条1項)。
前提として、倒産手続きには再建型と清算型の2つの種類があります。
再建型とは、債権者の収益・財産を維持または向上させつつ、負債を圧縮するなどして、債務者の経済的な再建を図っていく類型の倒産手続です。
この再建型倒産手続の基本類型には民事再生法に基づく民事再生手続がありますが、再建型の特別類型としては、会社更生法に基づく会社更生手続(条文上では「更生手続」といいます)があります。
会社更生手続においては、裁判所によって選任された更生管財人が更生計画案を策定し、これを遂行していきます。
■清算型との比較
会社更生手続は、株式会社の経済的更生を目的とする手続きであるため、上述した通り、再建型といえます。
他方で清算型は、文字どおり、債務者の財産を調査・換金処分し、債務を清算するため、清算型といえます。
清算型の場合には手続の終了と同時に法人・会社は消滅することになりますが、再建型である会社更生手続の場合には、必ずしもその法人・会社が消滅するとは限りません。
また、清算型の場合、事業活動は原則として停止となりますが、会社更生手続の場合は、管財人によって事業活動が継続されます。
■民事再生手続との比較
再建型の倒産手続には、民事再生法に基づく民事再生手続と会社更生法に基づく会社更生手続があります。
①対象
民事再生手続は、個人・法人(株式会社に限らない)を問わず、誰でも利用することができます。
他方で、会社更生手続は株式会社のみの利用に限られています。個人はもちろんのこと、合同会社等の株式会社以外の法人はこれを利用することはできません。
また実際問題として、高額な費用や複雑な手続きが必要となるため、会社更生手続を利用できるのは上場企業などの大企業に事実上限られているといえます。
②経営権の継続
民事再生手続の場合、原則として経営陣の交替はなされず、従前の経営陣が主体なり、再生債務者自身が手続を遂行します。また、原則として株主の権利も維持されます。
これに対して、会社更生手続の場合には、経営権や財産処分権は更生管財人に移るため、従前の経営陣は原則として交替されます。また、資本構成も変更するため、既存の株主は権利を喪失するのが原則です。
③担保権の行使
民事再生の場合、担保権は再生手続きが行われていても行使可能です。ただし、競売手続の中止命令および担保権消滅制度があります。
また、再生計画認可後は担保権が行使可能となります。
他方で、会社更生の場合、担保権は手続内に取り込まれ、会社更正手続きが開始されると行使することができません。
更正計画認可後も行使することはできません。たとえ、担保権者であっても担保権の行使は全面的に制限されます。
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